しばらくジャンプ見てなかったから、HUNTER×HUNTER以外なんのこっちゃわからない……!
切島くんに何があったのか、鬼滅の刃が何故あんだけ最初に掲載されているのか、元黒子&べるぜはもうあんなに下の方にいて大丈夫なのかとか、色んな事を無駄に心配しつつも、大体読み飛ばしましたよね。だってまったくわかんなーい!約束のネバーランドもいつの間にか壁の外に出てたし、ノーマンは一体、どこに……?
でもなんかこう、しばらく見ないうちにジャンプも変わっちゃったね。ちょっとした浦島太郎気分です。まぁ私が勝手に離れていったんだから太郎さんとは状況は違うけど。でもまぁ、もう少年の心を楽しむ若さは私にはもうなくなってしまったのかも知れないなぁ……悲しい……。でも昔楽しかったものを今でも同じ熱量で楽しんでたら、それはそれで成長してない感じがするからこれでよかったって思っとこう。人生においてポジティブな思い込みって大事ですからね……!そう、老いでは、ないんだ……老いでは……決して……。
なんだか切なくなってきたので、話題を変えるために唐突に出茶の話をしますね。
私は勝茶派なんですが、本誌は完全に茶→出じゃないですか。
仮にあこがれの感情をお茶子ちゃんが勘違いしてるとしてもですよ、実際にお茶子ちゃんが恋だと思ってその心を封印したのなら、それはれっきとした恋なわけですよ。それなのになんで勝茶を押してるかって、まず単純に2人の対等感が好きだからってのと、デクくんとの恋が仮に成就した場合、将来的にしんどいのは絶対にお茶子ちゃん側だからなんですよ。
デクくんはだってオールマイトの個性をもらっている直下の後継者なわけですから、彼は全ヒーロー、全国民の正義の象徴であらなければならないと自分に課しているわけです。その為に、彼は自身の腕も手も既に犠牲にしてるんです。ヒーローになることは、自分の身より遥かに大事な使命な訳なのです。デクくんにとってね。多分。
その重圧の中、特別な人を作るってことがいったいどういうことなのかって、どうしても考えてしまうんですよね。ヒーローの敵対相手、すなわちラスボスの弔くんが悪に染まったのも、言ったら特別な繋がりから育まれてしまった悪意じゃないですか。バックボーンはまだよくわかんないけど、今現在明らかになっている限り、先代からの繋がりがある程度関わったものでしょ。
もちろんお茶子ちゃんだって立派なヒーローになるだろうし、あの2人(と、もしかしたら生まれてくる子供)に限って悪意を育ててしまうとかはないだろうけど、特別な繋がりってのは、それだけの悪意を生み出すエネルギーになってしまう可能性を秘めているわけですよ。
だからね、2人の愛が(特にお茶子ちゃんの愛が)事実を正しく意識しそれを背負う覚悟のものならば、しばらく無言を貫いたのちに、「おっけ~!」ってローラばりのたこ焼き作って花吹雪で出茶を祝福できるのです。私がね!
だけどどっちにしろお茶子ちゃんの負担の方がずっと大きいと思う。だからおせっかいおばちゃんのように爆豪くんを進めてしまう所もあるんだよね。爆豪くんは口は悪いけど、意外にマメだから家族になったらちゃんと家に連絡入れそうだし、デクくんには恋心を封印しようとするような健気さでもって対応するお茶子ちゃんも、爆豪くんには割と言いたい放題言えるじゃん。すなわちそういう事じゃん。
しかし今はそんなお節介置いといて、出茶の話です。勝茶は私の中の勝手なあれだからですね。
現在時点で考えられる私の中の最高の出茶はね、まず弔くんとの決着はついた状態が前提です。もちろん勝者です。しかしおそらく身体は無事ではすまないでしょう。
勝利によりある程度平和になった世の中、だがしかしそれがいつまで持つかはわかりません。そんなことを考えながら動きの悪くなった身体で雄英高校で時折特別講師として働く傍ら、ついに彼は後継者を見つけます。おそらくね、かつての彼と同じ無個性の少年でしょう。彼は少年に自分が教えられるすべてを教えます。そんで、すべてを教え終わった後、とうとう前線から退くことを決意します。
なんだか不思議な気持ちで珍しく定時に家に帰るデクくん。とっくに引退していたお茶子ちゃんも家にいて、一緒に夕食を食べることに。久しぶりにすごす穏やかな時間です。
「なんかデクくんと一緒にご飯食べるの、久しぶりやね」
「うん、ごめん。僕、ずっと仕事ばっかりで……」
「ふはっ、それすごい今更やな~。でも今からは、ちょっとデクくんにはもの足らんかもしれへんね」
「え、なんで?」
「今日のヴィラン、あの子が倒したんやろ」
「ああ、そういうこと」
そう言って、デクくんは笑った。久しく見ない穏やかな顔。かつて満身創痍で巨悪を打ち倒し、世に平和をもたらした英雄と同一人物だなんてちょっと思えないなぁ、なんてことを思いながらお茶子は息を吐く。今に至るまで本当にいろんなことがあった。正直、目の前の彼がこうやって生きて笑っていることが奇跡的なぐらいだ。正義のための戦いだとはわかっていたが、彼は何度も何度も生死の境をさまよって、その度にお茶子は生きた心地がしなかった。
「正直、未練がまったくないと言ったら嘘だけど……でも今は嬉しいのが大きいかな」
「えー?事件があったら、いても立ってもいられないデクくんも、大人になったんやね」
「そうじゃなくてさ、」
てっきり困ったように笑うかなと思っていたけれど、予想に反して、デクくんは穏やかに微笑んだままだった。
「ようやく、きみだけのヒーローになれるなって」
その言葉を聞いた瞬間にね、これまでの苦労がすべて報われ、お茶子ちゃんの恋が、ようやくひとつの愛になるんだ……。
もちろん無個性状態からヒーローの素質のあったデクくんが、身近な事件に首を突っ込まない訳ないから、お茶子ちゃんの苦労は終わらないんだけど、その一言だけでね、それまでのすべてが形を成すんですよ。
それが私の考える最高の出茶です!スパンがね!超長いよ!
あとはね、ニューシネマパラダイスみたいな出茶もちょっと考えました。いや、出茶っていうか、出→(←)茶です。そんで最終的には勝茶になるんだけれども。
トトおじさんと彼女は麗日さんが兼ねるよ。卒業式の前日にデクくんが麗日さんを呼び出すんですよ、告白しようと思ってね。でも麗日さんは約束の時間にいかないの。デクくんにはみんなのヒーローになって欲しいから。当然デクくんはフラれたと思う。
で、その後お互い忙しくて会えなくて、同窓会とかでも麗日さんがうまいこと避けてすれ違って、そっから数年後、麗日さんが爆豪くんと結婚するという知らせをデクくんは受けるのです。2人が付き合っていたことも知らなかったデクくんは、突然の知らせに、なんだかいてもたってもいられなくなります。何をしていいのかわからないまま、麗日さんに連絡をとり、数年ぶりに2人きりで会う約束を取り付けます。しかし約束の時間に現れたのは、麗日さんではなく、爆豪くんでした。
「かっちゃん……?」
「お前に会いたくねぇってよ」
「そう……。うわ!な、なに?」
「知るか。人を使いやがってあの野郎」
「かっちゃん、あの……麗日さんは……」
「……さぁな」
去っていく爆豪、デクくんの手に残されたのは麗日さんからだという映像機器。
家に帰ったデクくんは、少し迷った後、おそるおそる再生ボタンを押します。そこに映し出されたのは麗日さんではなく、小さな女の子のきらきらとした笑顔でした。
『ヒーローデク!助けてくれてありがとう!』
呆気にとられるデクくんを差し置いて、映像は次々と切り替わります。
『ヴィランから街を守ってくれて本当にありがとう!』
『デクはねぇ、私が迷子になった時、助けてくれた!』
『僕も大きくなったら、デクみたいなヒーローになるんだ!』
映っている人たちは、みんなヒーローデクがかつて助けた人たちです。姿こそ映ってないものの、インタビューをしている音声は、聞き覚えのある学友たちの声。そして最後に、渾身の力を振り絞ったであろう、久しく見ないマッスルフォームのオールマイト。デクくんの憧れたあの笑顔で、映像の向こうのデクくんにこう言い放つのです。
『な、言ったろう?きみはヒーローになれるってさ!』
泣き笑いのデクくんの笑顔と共に、物語はエンドロールへ……。
……っていうね!
出茶かと言われたらそうじゃないかもだけど、でも、愛はあるよ。たぶん。